ネパール記

ネパール記(終)「レクサス」も「オリーブの木」をも掴む世界に身を置いて

地方に向かうバスのなか、二車線の狭い道路を対向車と擦れ違う度に恐怖心から思わず「うっ」と呻き声が上がる。このバスは少しでも接触すれば、数百メートル下に落下してしまう。慣れない当初は常にこの恐怖心との戦い、余りに体に良くないため、瞼を閉じる…

ネパール記(5)出稼ぎ労働者の実態と開く日本の門戸

2018年11月某日、ネパールの首都カトマンズにあるトリブバン国際空港に降り立てば、真っ先に目に入る異様な光景。群衆が一台の車を囲み、その上にカメラマンらしき人物がその車の荷台にある何かしらの映像を収めています。複数の白装束を身に纏ったネパール…

ネパール記(4)中国チベット国境沿い、ヒマラヤで進む「一帯一路」

定宿がある場所はバックパッカーやヒマラヤ・トレッキング客が集うカトマンズ随一の繁華街「タメル」。自由と快楽を求めて多くの欧米人がこの地を訪れ、酒と大麻に溺れて行く。そして、彼らの雄叫びがライブ・ミュージックに乗って協奏曲となり、深夜に至る…

ネパール記(3)インド国境沿い、南部タライを駆け抜けて

国土面積は北海道の約2倍、ちょうどその中心に位置するカトマンズからは東西南北に向かうバスが発着しており、市民にとって唯一無二の移動手段。外国人観光客が多い地域、例えばアンナプルナ連峰が見渡せるネパール第二の都市ポカラや、仏陀生誕の地である南…

ネパール記(2)緩衝国家が乗り越えた2015年の2つの苦難

2015年4月25日、日本時間15時頃に速報で流れて来たネパールで大地震発生のニュース、現地映像を見た瞬間に思わず声を失いました。「カトマンズが壊滅じゃないか」。短期駐在終了後、日本でキャリアを積む僕の長年の夢であったアジアでの農場運営は目覚ましい…

ネパール記(1)中印に挟まれるヒマラヤ麓の国での原体験

「カトマンズ市内でバスが連続して爆破されたようです。十分に気を付けて下さい」、現地側にそう伝えられたのは約半年にも及ぶ赴任が始まった2007年7月末、凹凸激しい道路に、渋滞の最中、クラクションを鳴らし続け全く動かない車。計画停電が実施される時間…